王様と私のただならぬ関係
 握る手が汗ばみ、顔は青ざめ、震え始める。

 それに気づいた秀人が振り返り、言ってきた。

「……悪かったな、こんな話して。
 寒いか。
 早く戻ろう」

 いや、そうではなくてですねっ、と思いながら、なんとなく、やましく、すすすっと秀人から離れがちになる。

 そのせいで、秀人は自分が距離を置きたがっていると思ったらしく、手まで離してしまった。

 えーと。
 ずいぶんと気を使ってくださってるのは嬉しいのですが。

 そうではなくてですねっ!

 なんか私、もう駄目だ……。

 どうすれば。

 なんか葉月さんに出会ってから、ずっと、どうすればって言ってるような気がするんだけど。

 でも、ほんと、どうすればっ!?

 などと思っている間に、車で家まで送られ、

「じゃあ、また明日」
と秀人は上がることなく、帰っていってしまった。





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