王様と私のただならぬ関係
翌朝、おはよーございますー、とゆるい挨拶をして、明日香が受付で鍵を受け取り、行こうとすると、静が言ってきた。
「あのー、ごめんなさい。
葉月さんの彼女って、貴女だったのね。
目の前で本当に申し訳ないことを」
と謝られる。
いいえ、こちらこそ申し訳ない、と明日香は思っていた。
こんなに強く葉月さんを思っている人が居たのに、私なんかが、と思ったからだ。
つい昨日まで、彼を好きだと自覚することもなかった。
自分こそ、罵られても仕方がないのに、と思っていたが。
おかしなことを言って、やさしい静を結婚前に惑わせてしまってはいけないと思い、口には出さなかった。
「でも、すごいわ」
と静は言い出す。
「どうやったら、あの葉月さんと付き合えるようになるのか、私には想像もつかないわ。
いきなり、好きです、とか言ってみたところで、聞いてなさそうだし」
……聞いてなさそうですよねー。
あのバランスよく小さな頭の中まで、緑化されてそうだ。