王様と私のただならぬ関係
「そ、そういえば……」
とまだ堅いまま、明日香は訊いた。

「身の回りと言えば、いつも通勤はスーツでビシッと決めてらっしゃるらしいですね。
 白衣の下はラフな方も多いのに」

 実は、さっき、みんなに、そう聞いたのだ。

 今朝まで、秀人のことは、存在自体、知らなかったので、自分自身が彼について知っていることなどなにもない。

 ポスターと間違えるくらい生きている気配がない、ということくらいしか。

「考えなくていいだろ、スーツって」
と秀人は言ってきた。

 ちょっとわかるかな、と思う。

 ワンピースだと組み合わせ考えなくていいみたいな感じなのだろう。

「シャツはクリーニングに出せばいいし。
 Tシャツだと自分で洗って干す物が増えるじゃないか」
と言う秀人に、

 ああは言ってたけど、やっぱり、この人、家事嫌いなんじゃ……と思っていると、
「ところで、仕事はいつ終わるんだ」
と秀人は訊いてくる。
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