王様と私のただならぬ関係
「あ、もう終わってますが」
と言うと、

「そうか。
 俺はまだ終わらない」
と言う。

 そうですか、では、と立とうとすると、
「俺は、八時には帰れる。
 お前の家は何処だ」

 そう秀人は言ってきた。

「ええっ?
 うちに来られるんですかっ?」

 急いで出て来たので、あんまり片付いてないんですけどっ。

 っていうか、そういう問題ではないっ? と内心、慌てふためいていると、

「いや、迎えに行ってやろうかと思って。

 そういうものなんだろ?

 男は女を車で迎えに行くものだと聞いたぞ」
と言ってくる。

 いや、あの、聞いたぞって……。

 明らかに誰かに吹き込まれた感満載の言葉に、恐怖を覚える。

 やっぱり、この人、ロボットかなにかなんじゃ。

 誰かに、私と結婚せよ、と命じられて動いているだけなのでは――。

 いや、そんなことを命じそうな人間に心当たりはないのだが。
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