王様と私のただならぬ関係
あとちょっとで十二時だ。
お昼前、明日香が時計を見ながらデスクで仕事をしていると、社内を回ってきた緋沙子が、明日香のデスクの上にどさっと重みのあるものを投げてきた。
この量の書類とか渡されたら嫌だな、と目の端にそれを捉えて思ったが、よく見ると、それは分厚い雑誌だった。
「なんだかわかんないけど、静さんがそれ、あんたに渡せって」
と緋沙子が言ってくる。
さっき話していた結婚情報誌だった。
「先月号だからあげるって」
あんた、結婚すんの? と緋沙子に問われ、いやー、と渋い顔をする。
「しようったって、結婚、一人で出来ませんからねー」
と言うと、緋沙子は、
「相手は居るじゃない。
でもさ、やっと仕事始めたとこなのに、もう結婚とか。
早まっていいの?」
と静と真逆のことを言ってきた。
「まあ、待ちなさいよ。
葉月より、いい男が現れるかもしれないじゃないの」
葉月さんよりいい男……。
「居ないと思いますが」
とうっかり言って、いきなりノロケる!? という顔をされた。