王様と私のただならぬ関係
 



「あれからどう?
 葉月とは進展してるの?」

 翌日、受付で、たまたま一緒になった緋沙子が世間話のついでに訊いてきた。

 それよそれよそれよっ、と静も身を乗り出してくる。

「いやー、それがよくわからない感じで。
 昨日、葉月さん、薔薇の花持ってきてくれたんですよ。

 青い薔薇を一輪」

「やだ、素敵っ」
と静が声を上げる。

「葉月さんに、薔薇なんて送られたら、ぽうっとなっちゃって、指輪外すわ」

 いや……はめといてください、と思った。

「それが、変なお面つけてきたんですよ。
 だから、ぽうっとなるっていうより、怖かったです」

「変なお面って?」

「真っ白で表情がないんです」
と言うと、緋沙子は、

「普段からそんな感じじゃん」
と言って、静に文句を言われていた。
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