王様と私のただならぬ関係
 


「あっ、明日香ー」

 明日香がロッカーに戻ると、若菜たちが待っていた。

「帰ろうよ。
 明日香も電車でしょ」
と笑顔で言われ、

 研究棟であのポスターを見てから、今まで、おかしな世界に迷い込んでいたような気がするのだが。

 ようやく現実に戻ってきた気がする、とほっとしていると、

「そういえば、葉月さんってさー」
と若菜が言い出した。

 ……容赦ないな、現実、と思いながら、エレベーターホールに向かう。

「外から見るだけの王子様って言われてるらしいよ」

 いろんな逸話のある人だな、と思っていると、
「入社早々、告白した人が、
『何故だ』
 って言われたらしいから」
と若菜が言う。

 言いそうだな……と思っていた。
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