王様と私のただならぬ関係
 



 研究以外のことには興味なさそうだから、どんな車なのかな、と思っていたのだが。

 秀人の車は、よく磨かれた黒のワーゲンだった。

 そういえば、なんとなく着ている風に言っていたスーツも着こなしがお洒落だ。

 特別意識しなくても、生まれつきのセンスが自分などとは違うのかもしれないと思う。

 これで、顔も頭もいいとか。

 ますます結婚とか、ご遠慮したい感じなんだが、と思いながら、秀人に逆らい切れずに、言われるがまま車に乗る。

 初めて乗る車の匂いって緊張をあおるよなーと思いながら、助手席で硬くなっていると、秀人が運転しながら言ってきた。

「そういえば、如月がお前と付き合っていたというのは、奴の妄想だと、さっき、言っていたが」

「はあ。
 妄想と言いますか。

 何故、そんな話になったのか、さっぱりわからないんですよ」
と正直なところを口にする。
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