王様と私のただならぬ関係
「ところで、お前こそ、俺の名前知ってるのか?」

「え、なんでしたっけね?」

「……呼ばなかったら、明日香をクラゲの水槽に入れるぞ」

「ええっ? これ、海水でしょ、死にますよ」

 金魚、淡水魚なのにっ、と思って言うと、

「莫迦。
 お前をだ」
と言われた。

 落ち着いてみると、葉月のキスはぎこちなく。

 俺も不安だと言ったのは、嘘ではないと気がついた。

 ごめんなさい、あのとき逃げ出して、と葉月の背中に手を回し、抱きしめる。





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