王様と私のただならぬ関係
エピローグ
「どうしたの? 明日香ちゃん、緊張して」
と朝、受付で静に訊かれた。
「じ、実は今度、社内見学ツアーの添乗員をやることに決まったんですっ!」
と拳を作って言い、添乗員って……と静に笑われた。
社内見学の案内も総務がやるのだが。
今度、小学生が来るとき、明日香が担当することになったのだ。
緋沙子が、
「あんた、そろそろやってみなさいよ。
私が後ろついててあげるから」
と言ってきたからだ。
「そうなの。
頑張って」
と言ったあとで、明日香の指を見、
「ねえ、そのサクラソウ可愛いから、結婚指輪の内側にも同じ感じに埋め込んでみたら?」
と言ってくる。
「私も結婚指輪に石入れちゃった」
と笑う静は、なんだかんだでラブラブなようだ。
結局、一番しっくり来る相手だったのかもしれないと思った。
そのとき、静が顔を上げた。
「あら、如月さん、おはようございます」
ぎくりとする。
大地が立っていた。