王様と私のただならぬ関係
おまけ 王様と私のただならぬマンション
とあるマンションの住人の恐怖の日々
……廊下になにか居る、と私は思った。
とある土曜日の朝のことだった。
マンションの廊下に出たら、薔薇の花を持った彫像が立っていた。
彫像です。
なにか人ではないものです。
人だと言うには、なにもかも均整がとれすぎていて、美しすぎるし。
第一、人の気配がしませんっ!
そして、何故、真っ赤な薔薇っ!?
「……おはようございます」
と彫像の前に居た、たまに挨拶するOLさんらしき人と目が合う。
人は信じられないものを見たとき、軽く現実逃避をする。
「あっ、お、おはようございます」
と早口に挨拶をして、足早にエレベーターの方へと逃げ去った。
とりあえず、視界からその彫像を消そう、と思ったのだ。