王様と私のただならぬ関係
 



 またなんか居ますっ。

 白いお面の人ですっ、とある晩、マンションに帰ってきた明日実は固まった。

 思わず、降りかけたエレベーターにとって返す。

 延長ボタンを押して、エレベーターの中からその様子を窺った。

 白いお面の人が、ぼんやりあの部屋の前に立っている。

 怖いよ。

 ドアが開くのを待っているのかもしれない。

 開けたら、あの女の人にナタとかで襲いかかるつもりかもしれませんっ。

 けっ、警察っ!? とスマホを片手で探そうとしたが、上手くいかない。

 コンッと鞄から床に落ちた。

 ああっ、としゃがんだ瞬間、ボタンから手が離れた。

 扉が閉まりそうになる。

 気づいた白いお面の男は後ろに隠していたナタを振り上げ、こちらに向かい、走ってきた。

 私は早く扉を閉めようとボタンを連打する。
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