王様と私のただならぬ関係
この彫像、迫ってきます
ソファで紅茶を飲んでいたが、二人とも沈黙していた。
「あのー……」
と耐えきれず、明日香が口を開く。
「なにか話しませんか?」
「と言ってもな」
と秀人が言う。
「ないな。
共通の話題など」
そ、そうなんですけど、と思いながら、
「えーと、会社の話とか」
と言うと、会社の話? と話題を探すように紅茶を見つめていた秀人が目を上げた。
あの不思議な色の瞳が自分を見る。
みっ、見つめないでくださいっ、と思っていると、
「俺の仕事の話は、ほとんど機密事項だ。
知りたいのか」
と訊いてくる。
「は?」
静かに淡々と秀人は繰り返す。
「……本当に、知りたいのか……?」
怖いよ。
「け、結構です」
と思わず、言っていた。