王様と私のただならぬ関係
 だが、相変わらず、近隣の住民などに注意を払わない秀人は、
「気に入らないのか、花」
とこちらに向かい、言ってくる。

「いえ、いただきます。
 嬉しいです。

 ありがとうございます」
と言いはしたが、赤い薔薇というのも、あの廣田さんが指定してそうな花だなと思うと、ちょいと嬉しさ半減だ。

「すみません。
 ちょっと活けてきます。

 上がりますか?」
と訊くと、迷うような顔をする。

「入っても大丈夫か?」
と間を置き訊いてきかけたので、その言葉に被せるように、

「今日は片付いてますからねーっ」
とつい、言っていた。








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