王様と私のただならぬ関係
 明日香はついて歩くのをやめ、その場に腰かけた。

 海に向かって足をたらして座ると、お尻が太陽で温められた白いコンクリートのせいで、気持ちいい。

 すごい潮の匂いだなーと思って、目を閉じる。

 なにか……

 思ったより、楽しくないこともないな、と思っていると、いきなり背後から声がした。

「無防備に座るな」

 は?

「蹴り落としたくなるから」
と秀人は言う。

「そんな端に座っていると、蹴ったらどうなるんだろう、とか思ってしまうじゃないか」

 そう大真面目な顔で秀人は言ってくる。

「……思わないでくださいよ」

 危険な人だ……。

 この人と一緒に歩くときは、屋上の端とかやめておこう、と思っていた。





< 73 / 298 >

この作品をシェア

pagetop