王様と私のただならぬ関係
いつの間にか自分の後ろをついて歩くのをやめた明日香は波止場のコンクリートの上に腰をおろしていた。
ハーフパンツから伸びた明日香の綺麗な脚は、太陽の光を浴びて、その白さを際立たせている。
秀人は、思わず目を奪われた。
明日香はそんなことには気づかぬように、長い髪を潮風に揺らし、ぼんやりとしている。
やがて、片膝を立て、そこに両手をかけると、ストレッチのように、伸びをし始めた。
……走り出す気か。
しかし、お前は、俺を人ではないかのように言うが、俺は充分俗っぽいぞ、明日香、と思っていた。
なんだかそれ以上見ていられなくて、思わず、
「無防備に座るな」
と言うと、ええっ? という感じで、明日香が振り向く。
そのまま明日香と話しながら、しかし、何故、突然、船幽霊、と思っていた。
お前の方がよっぽど、情緒がないぞ、と思いながら、横に腰をおろすと、びくり、という感じで、明日香が少し横に逃げた。