王様と私のただならぬ関係
 ……これはどうにかならないもんだろうかな、と自分の一挙手一投足に、不思議そうな顔をしたり、驚いて逃げ腰になったりする明日香を眺めていた。

「柄杓で思い出したが、北斗七星が水をくむ場所があるのを知ってるか」

 え? と明日香がこちらを見た。

 明日香は風に揺れる髪を手で押さえながら、自分の話を聞いている。

 斗、とは柄杓の意味だ。

 七つの星が柄杓の形をしているので、北斗七星という名前なのだが。

 その柄杓が海水をくんでいるように見える場所が、世界に一箇所だけ存在する。

 九州北部の海岸だ。

「今度……」

 見に行ってみるか、と言いかけ、秀人は、つまった。

 遠いし、綺麗に見える時期も限られている。

 一泊しないと難しいだろう。

 いや……

 結婚するのなら、一泊旅行に出ても別にいいはずだ、とは思うのだが。
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