王様と私のただならぬ関係
 まあ、全員がそうってわけじゃないけど。

 自分の周りにそういう人が多いのは確かだ、と思っていた。

 うーむ。

 結婚相手としては、もっとも避けたい人種だったのに。

 お母さんを見ていたら対処法がわかる、という点ではいいかもしれないが。

 そういえば、お母さんはお父さんの話を、はいはい、と言って、いつも聞いてはいない。

 葉月さんとか、お父さんとか見てると、第二次世界大戦が始まって終わったのを知らなかった学者の話を思い出すな、と明日香は思っていた。

 浮世離れも此処に極まれりだ。

「あのー、葉月さんってモテるんですよね?」
となんとなく訊いてみた。

 だんだん、疑問に思うようになってきたからだ。

 秀人は、案の定、
「誰も声なぞかけては来ないが」
と言ってくる。

 ……変わっているからか。

 人間っぽくないからか。

 ご無礼な感じがするからか。

 いや、かつて告白してきた女性に、『何故だ』と言ったせいかもしれないが。
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