王様と私のただならぬ関係
 そういえば、日野さんも同情気味に私を見てたな……と思い出す。

 運転している秀人の横顔を見ながら、こんな綺麗な顔して、仕事も出来て、頭も良くて。

 ちょっと……いや、かなり、相当、変わってるけど、悪い人じゃないのに。

 女の人にも言い寄られないとか。

 出来すぎていて、恐ろしいな、といつの間にか思っている自分に気がついた。

 いやいやいや。

 別に、そういうの、ちょっといいかな、なんて思ってるってわけではないのだが。

 でも、かなりの朴念仁《ぼくねんじん》っぽいのに、いきなり恥ずかしげもなく、すごい殺し文句を言ってきたりするからな。

『写真だけで結婚しても、俺はかまわないぞ、お前なら』

 なんにも考えてなさそうに秀人はそう言ってきた。

 秋成や大地なら、なにかある……っ! と身構えてしまうところだが、彼は、本当になにも考えずに、思ったままを言っている気がした。
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