王様と私のただならぬ関係
 信用できるという点では一番かな、と思っていると、秀人が、
「ところで、お前、敬語でしゃべるな」
と言ってきた。

「無理です」

「しゃべるな」

「無理です。
 なんでですか」

「そういうもんだろ、恋人同士とか夫婦って」

「うちの親、敬語ですよ、お母さん。
 それでも尻に敷かれてますが、お父さん」
と言うと、そうなのか、と首をかしげたあとで、じゃあ、いいか、と言ってきた。

 ……なんでも形から入るのやめてください、と思ってはいたが、そういうこと言われるのも、やっぱり、ちょっと嫌じゃないかもな、と思ってはいた。





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