添い寝は日替わり交代制!?

「キッチンをお借りして良かったら何かお作りします。
 お口に合うか分かりませんが……。」

 本当、どうしてぼんやり座っていたんだろう。
 待っている間に何か料理でもして待っていたらいいのに。
 それがお詫び代わりにもなるかもしれないのに。

「いえいえ。
 先ほども控えめで助かると言いましたよ。
 昨日、出て行く時に仕込んでおいたので、あとは温めるだけです。
 できればお手伝い願えますか?」

 酔っていようとなかろうと超人佐々木課長は健在だ。
 私をベッドに運んだ後に次の日の夜ご飯を準備して仕事に向かうって……。
 私には到底、真似できない。

 だから私はいつもみたいに返事をするしかないんだ。

「はい!喜んで!」

 佐々木課長への返事と言えばこの返事。
 思わず出た職場と同じ返事に佐々木課長がクククッと笑う。

 嘘……。
 会社ではこの返事で佐々木課長に笑われたことなんてないのに。

「快い返事ですね。
 その言い方も好きですが「かりこまりました」の方が上品でよろしいかと。
 ハハッ。ダメですね。
 酔っていても偉そうに。」

 『好き』の言葉にドキッとしたり、眉尻を下げて髪をクシャッとさせる佐々木課長にときめいてしまったり。
 心春の心臓は忙しい。

「すみませんでした。
 明日からは「かしこまりました」と……。」

「大丈夫です。
 変えないでください。
 あの元気な返事を聞けるとこちらも元気になれますから。
 でも社外の人には「かしこまりました」でお願いしますね。」

 柔らかな笑顔を向けられて、見ていられない。

 どうしよう。
 さっきから心臓が騒がしくって仕方ない。
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