添い寝は日替わり交代制!?
乾杯したのは心春はビール。
佐々木課長はウーロン茶だ。
この後、職場に戻るという佐々木課長には頭が下がる。
連れてきてもらったのはこじんまりとした和食屋さん。
「おいしぃー。」
口にした煮魚は口に入れた途端にホロっと崩れた。
魚の甘みが生きていてなんとも言えない味わいだ。
心春の向かいに座る佐々木課長は仕草がとても上品で箸使いも綺麗だ。
その佐々木課長がまた目を細めて笑う。
「中島さんと食べるとそれだけで食事が楽しいですね。」
「あ、ありがとうございます。」
こちらは若干、緊張してしまう。
和食なんて箸使いやらマナーやらが難しそうで粗相がないだろうかと冷や冷やだ。
しかもそれが佐々木課長と同席となれば尚更。
あの、職場では手厳しくて、手厳しくて……手厳しくて……。
「ほら。魚。ほぐして差し上げました。
まだ箸は使う前なので、こちらを食べてください。」
「え、あ、あの。
私はお箸をつけちゃいましたし、そこまでしてもらうわけには……。」
「私は気にならないので、お気遣いなく。」
心春の静止は受け入れてもらえず、煮魚のお皿は取り替えれてしまった。
本当に心春が食べていた魚を食べ始めている。
「マナーなど窮屈に考えなくて結構です。
難しいことは手助けしてあげますから。」
優しく微笑む佐々木課長に気を許してしまったんだと思う。
じゃなきゃこんなことには………。