添い寝は日替わり交代制!?
声に振り返れば宇佐美くんだった。
宇佐美くんは働きながら大学に通う頑張り屋さんで、夜間の大学に行っている。
定時で上がり、そのまま大学に行っているらしい。
ちょうど大学が終わって帰る頃なのかもしれない。
そうだとしても会社に寄る必要はないわけで……。
「宇佐美くん忘れ物?」
「いえ。今日の中島さん様子がおかしかったから心配で。
思った通り残業してたから見に来て良かったです。」
私を気にして来てくれたんだ。
どれだけいい人なんだろう。
だから余計にモテるんだろうなぁ。
そんなことを思っていると宇佐美くんが横に座って吉田先輩のパソコンを立ち上げた。
「俺が分かる範囲で良かったら手伝いますよ。」
「え、悪いよ。
宇佐美くん仕事に大学に忙しいでしょ?」
「そうですね。
寝ないと次の日つらいですね。」
言葉とは裏腹に伝票を手にして入力してくれる。
優しいけど、こんなとこ誰かに見られたらどうしようって思っちゃう私ってダメダメだなぁ。
「宇佐美くんって先輩達に人気じゃない?
だから昨日みたいなのしなくていいと思うの。」
カタカタと入力していた手がピタリと止まった。
「なんでそんなこと言うんですか?
佐々木課長はいいんですか?」
ぐ………。
佐々木課長のことを言われると痛い。
佐々木課長だって良くないと思うけど……。
「嫌ですよ。俺。
佐々木課長に負けたくない。」
……佐々木課長への対抗心なのかな。
だからって……。
「そうだ。しまった。
やっぱ俺、帰りますね。
中島さんが仕事を早く終えれば終えるほど佐々木課長の元に行っちゃうんですから。」
「えぇ!?そういう理由?」
「はい。
敵に塩を送りたくありませんから。」
本当に帰るらしい宇佐美くんが「じゃ明日お待ちしてます」と言い残して去って行った。
明日って、やっぱり添い寝は続けるのかな。