添い寝は日替わり交代制!?
「ねぇ。聞いてる?」

「す、すみません。
 聞いてます!」

 ぼんやりしていた意識を取り戻すと吉田先輩が微笑んでいる。
 出社してから気づけばぼんやりしていた。

「やっとこっちの世界に帰って来た。
 ここ最近、上の空っていうかさ。
 何か悩んでる?」

 悩んでる………のかな。

「恋でもしてるんじゃないの〜?」

 微笑んでいたと思っていた吉田先輩はどうやらニマニマと面白がっているみたいだ。

 恋って!!

 でも……私は…………。

「………恋ってなんでしょう。」

「ハハッ。哲学的だね。」

「私にはまだ分からなくて。」

 20歳になれば大人になれると思ってた。
 でも自分の思い描いていた20歳とは程遠くて。

 年齢だけが大人になったみたい。

 ううん。イマドキ小学生の方が恋だとか誰が好きだとか分かってるかも。

 呆れるような私の質問に吉田先輩は今度こそ優しく微笑んで口を開いた。

「そうだなぁ。
 知らないうちに誰かのことを考えてる時なんじゃない?」

 そう言われて、ふっとある人が思い浮かんだ。

「な〜んてね。」

 そういたずらっぽく言った吉田先輩にへへへっと曖昧に笑顔を返した。






 お昼休みに食堂へ向かう心春の目に嫌でも入ってしまった人。
 宇佐美くんの席に来ていた綺麗な女性。

 スラッとした透明感のある人で、大人の女性そのものだった。

 あぁ。この人が添い寝に加わる人なんだ。
 宇佐美くんが「明日の昼にその人と話します」と言っていた。

< 59 / 98 >

この作品をシェア

pagetop