添い寝は日替わり交代制！？
26.佐々木課長side:心のたが
　佐々木課長はリビングで１人、宇佐美くんに言われた言葉を何度も何度も頭の中で反芻していた。

「今日は俺が中島さんですから。
　佐々木課長は会社近くのコンビニで井上さんと待ち合わせてくださいね。
　嬉しいなぁ。中島さんの手料理おいしんだよなぁ。」

「中島さんの手料理？」

「え？あぁ。
　佐々木課長はご自分が作られるんですよね。
　俺のために作ってくれるっていいもんですよ。」

　何故だろう。
　敗北感が押し寄せて押し潰されそうだ。

　ぎゅっと強く握った拳で頭を抱える。

　記憶が無くなるまで酒を飲んでしまいたい。
　しかしそれではまた宇佐美くんのところに中島さんを奪いに行ってしまうだろう。

「……こはちゃん。」

　この気持ちは胸にしまっておかなければ。
　酔った戯言として伝えただけで十分だ。

「…はい。」

　え？

　幻聴かと思いつつ顔を上げると聞きたいと願っていた声は求めてやまなかったその人の姿から発せられたようだった。

「こはちゃん？」

「はい。」

　微笑みながら小首を傾げたこはちゃんを抱きしめて離したくないと心の底から思ってしまった。
　その気持ちを悟られないように手を顔に当てて平静を取り戻そうと目を閉じた。





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