添い寝は日替わり交代制!?
 いつの間にか頭に回されていた手に支えられて、一度離された唇はもう一度重ねられた。

 そのまま重ねられて、重ねられて……。


 思わず力いっぱい貴也さんの体を押しのけてしまった。
 頭が混乱して真っ白でどうしていいのか分からなかった。

 突き飛ばした先にいる寂しそうに傷ついた顔の貴也さんが目に映って胸が締め付けられた。

 伏せたまつ毛が影を落として、それが息を飲むほどに美しいのに脆く崩れてしまいそうに悲しかった。

 伏せられた瞳はもう一度こちらを見ると、こわごわ伸ばされた手が頭を撫でて、そのまま貴也さんの胸元に収められた。

「すみません。
 だから抑えていたのですが…。
 こはちゃんがあまりに可愛らしかったので調子に乗ってしまいました。」

 優しい言葉と温もりに後から後から涙が出てしまって、頭を横に振ることしかできなかった。

 こんなはずじゃ……こんなはずじゃ……。
 何も言えなくてただただ涙が流れた。

 ずっと撫で続けてくれる優しい手が申し訳なくて、なのにやっぱり何も言えなかった。

 望んでいたことだったはずなのに、拒んで傷つけてしまった。
 私はどこまで子どもなんだろう。


 しばらくして涙が止まった頃、貴也さんがつぶやくように言った。

「こはちゃんのこと大事ですから。
 大切にします。嫌なことはしません。
 だから嫌いにならないでください。」

 最後は消えてしまいそうな声で、どうして貴也さんはそこまで自分のことを考えてくれるんだろうと、止まった涙がまた出てしまいそうになる。

「私の方こそ子ども過ぎて呆れられちゃうんじゃないかって。
 本当は恋人らしいことが何もなくて悩んでいたくらいなのに。」

 結局、涙声になってしまって、貴也さんが背中をさすってくれた。





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