添い寝は日替わり交代制!?
3.鍵を返しに
 どんなに見返しても手の中には鍵がある。
 これは紛れもない事実だ。

「届けないわけにはいかないよなぁ。」

 小さくつぶいてみても、この事実が変わることはない。

 エントランスのオートロックに慄きながら念のため覚えておいた部屋番号に向かう。
 当たり前だけれど、持っていた鍵でドアは開いて今朝見た通りの部屋がドアの向こう側にあった。


 夢じゃなかったんだなぁ……。
 夢なら良かったのに……。

 現実だったのなら……覚悟を決めるしかない。
 恐れ多い気持ちを抱えながら部屋にお邪魔した。



 改めて見返すと嫌になるほど広い部屋。
 どこに座ればいいのか居心地が悪いまま、リビングのテーブル近くに腰をおろした。

 ソファに座るのさえ恐れ多い気がして、カーペットの上に座る。

 毛足の長いカーペットは肌触りがいい。
 手入れが大変とか気にせずにこのカーペットをチョイスできるのがさすが佐々木課長だと思った。
< 8 / 98 >

この作品をシェア

pagetop