添い寝は日替わり交代制!?
 近くのカフェ。

「佐々木課長、帰ってこないんでしょ?
 メシでも行きません?」

 そう誘われたけど頑なに首を横に振った心春に「カフェくらいならいいでしょ?」と提案されて、カフェに入った。

『必ず帰ります』をまだ信じてるなんて馬鹿なんだろうな。
 カフェに来たはいいものの宇佐美くんにはどうしても距離を取ってしまう。

 そんな心春を見て宇佐美くんは苦笑した。

「そんなに警戒しないでくださいよ。
 もう添い寝してなんて言いませんから。」

 訝る視線を送ると、ププッと吹き出された。
 相変わらずクルクルと表情が変わる明るい人だなぁ。

「ショックでまた倒れられたらたまらないし。
 そんなに好きなんですね。
 佐々木課長のこと。」

 そんなに好き……。
 うん。3日も会えないと知っただけで会いたくなるくらい好き。

 思っていたことが顔に出ていたみたいで、宇佐美くんは付き合ってられないと肩を竦めた。

「こりゃ藪蛇ってもんだ。
 これ飲んだら帰ろっと。」

 頼んだコーヒー。
 苦くて苦くて泣いていないのに涙の味がした。





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