添い寝は日替わり交代制!?
ダダッと駆け出すと先に部屋に行ってしまった貴也さんにタックルするみたいに抱きついた。
思いっきりぶつかったせいでよろめいた貴也さんに思いの丈もぶつける。
「私だって離れたくありません。
でも急に北海道だとか結婚だとか言われたら戸惑います。
それに最初から仕事仲間として連れていくつもりなら……。」
「ダメですか?
妻として連れて行きたいんです。
もう離れないんだという確証が欲しいと思うのはわがままですか?」
「離れません。
貴也さんこそ私のこと信じてくれてないじゃないですか。」
しばらく無言が続いたあと、貴也さんが静かに言った。
「ではどうしたら良かったのでしょうか。
恋人として行けばいいのですか?
それともただの仕事仲間ですか?
私は会社で他人のふりをするのがつらいです。」
そんなこと………ずるい。
抱きついている私の腕を外す手はいつもと変わらない手のはずなのに寂しくて悲しい手だった。
「今日はすみません。
別の部屋で寝させてください。」
やだ。そんなの嫌だ。
離れた手をつかんで、もう一度訴えた。
ここで離してしまったら、この手は二度とつかめない気がした。
「恋人として行けばいいじゃないですか。
私は初めての恋人ができたのに恋人気分をまだ味わっていません。
貴也さんが好きです。
……それじゃダメでしょうか。」
2人で同じ方向を向いているはずなのに、どうしてこんなことに………。
「………では中島さんは私の彼女ですって言っていいんですか?」
「………恥ずかしいですけど、いいです。」
そんなこと、離れ離れになることに比べたらどうでもいい。
しばらく無言の時間が続いた。
体を背けられたまま顔が見えない会話。
表情が見えなくて不安になる。
「………分かりました。
その代わり、こはちゃんから仲直りのキスをしてくれますか?」
面食らう言葉だったけれど、振り向いた貴也さんは居心地が悪そうな顔をしていて思わず笑ってしまった。
「笑うなんて失礼です。」
ますます拗ねた顔をする貴也さんの首に手を伸ばすと少し屈んでくれた。
心春も精一杯の背伸びをして仏頂面のまま目を閉じている貴也さんの薄い唇にそっとキスをした。
自分で言ったくせにバツが悪そうな声で「これで機嫌が直ると思わないでくださいね」と言われて余計に笑えてしまった。
年の差がなんだっていうんだろう。
あの佐々木課長がこんなに可愛らしい貴也さんだって誰も知らないんだから。
まだ笑う心春の体は引かれた手にとらわれてふわりと移動すると腕の中に収まった。
すぐ近くの貴也さんから温かいぬくもりと一緒に柔らかい声が届く。
「大丈夫。きっと私たちは大丈夫です。」
貴也さん自身が自分に言い聞かせているみたいな言葉。
それはまだ佐々木課長のところに住まわせてもらってすぐくらいの頃にも言われた『大丈夫』の言葉と同じ。
根拠もないのに本当に『大丈夫』と思える不思議な言葉だった。
思いっきりぶつかったせいでよろめいた貴也さんに思いの丈もぶつける。
「私だって離れたくありません。
でも急に北海道だとか結婚だとか言われたら戸惑います。
それに最初から仕事仲間として連れていくつもりなら……。」
「ダメですか?
妻として連れて行きたいんです。
もう離れないんだという確証が欲しいと思うのはわがままですか?」
「離れません。
貴也さんこそ私のこと信じてくれてないじゃないですか。」
しばらく無言が続いたあと、貴也さんが静かに言った。
「ではどうしたら良かったのでしょうか。
恋人として行けばいいのですか?
それともただの仕事仲間ですか?
私は会社で他人のふりをするのがつらいです。」
そんなこと………ずるい。
抱きついている私の腕を外す手はいつもと変わらない手のはずなのに寂しくて悲しい手だった。
「今日はすみません。
別の部屋で寝させてください。」
やだ。そんなの嫌だ。
離れた手をつかんで、もう一度訴えた。
ここで離してしまったら、この手は二度とつかめない気がした。
「恋人として行けばいいじゃないですか。
私は初めての恋人ができたのに恋人気分をまだ味わっていません。
貴也さんが好きです。
……それじゃダメでしょうか。」
2人で同じ方向を向いているはずなのに、どうしてこんなことに………。
「………では中島さんは私の彼女ですって言っていいんですか?」
「………恥ずかしいですけど、いいです。」
そんなこと、離れ離れになることに比べたらどうでもいい。
しばらく無言の時間が続いた。
体を背けられたまま顔が見えない会話。
表情が見えなくて不安になる。
「………分かりました。
その代わり、こはちゃんから仲直りのキスをしてくれますか?」
面食らう言葉だったけれど、振り向いた貴也さんは居心地が悪そうな顔をしていて思わず笑ってしまった。
「笑うなんて失礼です。」
ますます拗ねた顔をする貴也さんの首に手を伸ばすと少し屈んでくれた。
心春も精一杯の背伸びをして仏頂面のまま目を閉じている貴也さんの薄い唇にそっとキスをした。
自分で言ったくせにバツが悪そうな声で「これで機嫌が直ると思わないでくださいね」と言われて余計に笑えてしまった。
年の差がなんだっていうんだろう。
あの佐々木課長がこんなに可愛らしい貴也さんだって誰も知らないんだから。
まだ笑う心春の体は引かれた手にとらわれてふわりと移動すると腕の中に収まった。
すぐ近くの貴也さんから温かいぬくもりと一緒に柔らかい声が届く。
「大丈夫。きっと私たちは大丈夫です。」
貴也さん自身が自分に言い聞かせているみたいな言葉。
それはまだ佐々木課長のところに住まわせてもらってすぐくらいの頃にも言われた『大丈夫』の言葉と同じ。
根拠もないのに本当に『大丈夫』と思える不思議な言葉だった。