【完】悪魔な天使
「…もしかして今…、こうなったのは自分のせいだとか思ってる?」
ずばり図星を当てられて、
私は言い返す言葉も思いつかなかった。
「言っとくけど、ナオは1ミリも悪くないからな。むしろ立ち向かってくれてありがとう。…怖かったろ?」
そう優しく問いかけられたので、
私はまた泣きそうなのを我慢して首を横に振った。
私のせいでこんな辛い拷問にあったというのに
ありがとうと言えるだなんて…
この人はなんて優しくて強い人なのだろう。
そう思った。
「…よしっ、じゃあまずはオシッコ拭いて、そしたらすぐにその首の鎖を外してやるから。一緒に風呂入ろう。」
風呂………!?
「イテテ…」なんて言いながら、立ち上がろうとするお兄ちゃん。
そして徐に自分の着ている洋服を脱ぎ出したので、私はなんとか視界に入らないようあからさまに目線を逸らした。
「タオル持ってくるからちょっと待ってて。」
少し待って、お兄ちゃんが洗面所から戻ってくると、ちゃんと腰にタオルを巻いていたのでホッとした。
そして手に持っている2枚のバスタオルのうち、一枚を私に渡してくれた。
互いにお漏らしを拭き終えると、今度は私の手に巻かれたテープと首の鎖を解いて外してくれる。
そして、わざわざテーブルの上にあったお水まで持ってきてくれた。
「ありがとう…。」
私が素直にお礼を伝えると、
お兄ちゃんは嬉しそうに微笑むだけだった。