【完】悪魔な天使
パチン…---!
お馴染みのデビーの指鳴らしで
強制的に試練が再開される---。
「…大丈夫か?」
心配そうに私の顔を覗き込むお兄ちゃんの姿がそこにあった。
「うん…、ちょっとのぼせただけ…」
そう答えると、お兄ちゃんはホッとした表情で私をお風呂場から出して
綺麗なタオルで身体を拭いてくれた。
そして今度は洋服まで着替えさせようとしてくれたので、
「そんくらい自分でできるって…!」
さすがに静止したのだった。
「だよな。お前ももう小5だもんな。」
お兄ちゃんは「おっきくなったな〜」って、私の頭をクシャクシャにしたかと思うと、ようやく自分の着替えを始めた。
・・・なんで?
なぜ、この人は自分のことよりまず"ナオ"の事を優先しようとするのか…
きっと、
愛されるってこういう事なんだろうな…
そんな風に考えたら
急に"ナオ"を羨ましく思った。
でも私は本物のナオにはなれない。
私の根本は篠田莉乃、なのだから。