だったらあんたが堕ちてくれ
第三章 二人
「今日はあんたと私の二人だけ」
人差し指で指したのは、自分と玄関で棒立ちしている少年。
椎名家で面倒をみている女とそこの長男。
つまりは椿と俺、椎名柊だ。
いやいや、まさか。
そんな訳ない。
そんなはずー
「何訳の分からないこと言ってるんだよ。母さんは?父さんは?さくらは?ああ、まだ帰ってきてないんだな。嫌だなー、紛らわしい。そうか、今日は俺が一番乗りかー」
全く椿の無愛想さには驚かされる。