だったらあんたが堕ちてくれ
唇が離れてからどのくらいの時間が経過したのか分からない。
数秒。
数分。
分からないが、幾らかの時間を経て、俺の耳はある声を拾った。
「まじかー、お兄ちゃんがねぇ」
振り返る。
そこにはにやけ顔の妹がおっ立っている。
そう、俺が拾ったのは妹の声。
「でもびっくりだよー。帰ったら椿さんとお兄ちゃんがちゅーしてるんだもん。あ、安心して。お母さんたちには黙っててあげるから」
「うん」
どうやら椿が見ていたのは妹らしい。
で、話してた相手ももちろん妹。