だったらあんたが堕ちてくれ

椿も。

家族も。

俺も。

全てが元あるべき場所へと戻るのだ。

なのに、言えなかった。

声が出せなかった。

水分は乾き、喉が張りつき、そうして出ていくものはただ独善的に生産された空気だけだった。
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