だったらあんたが堕ちてくれ

柴崎は答えに満足したのか笑みを浮かべ俺の手を取る。

「行きましょ。分からないところがあって。柊さんに教えてもらいたいんです」

「いいけど……」

この手はなんだ?

そんなに親しかったか?

それに呼び方。

別に先輩面するつもりはないけど昨日まで『先輩』とか『椎名先輩』じゃなかったっけ?

鞄を持ち直す振りで手を解く。

柴崎はハッとして、でもすぐにまた手を取ってきた。
< 320 / 389 >

この作品をシェア

pagetop