だったらあんたが堕ちてくれ

「ああ、そうだな。入るか」

椿に遮られ、柴崎に紹介するタイミングを完全に逃してしまった。

でも機会はすぐに訪れた。

ー椿さんはお姉さんですか?

ー彼女。

ー冗談ですよね?

……なんでここで冗談なんか言う必要がある?

横目で柴崎を盗み見る。

見なきゃ良かった。

そこには驚きとかショックとかそういったものを混ぜ合わせた、なんとも形容しがたい顔をした少女がいた。
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