だったらあんたが堕ちてくれ
的を得た返しに、女の口が塞がると共に再び沈黙が落ちる。
その沈黙を破ったのはまたしてもこいつ。
お気楽能天気な我が妹だ。
「いいじゃん。家においてあげなよ。お兄ちゃんの拾い癖はいまに始まったことじゃないんだし、記憶喪失なんて可哀想じゃん」
「だから拾ってないって言ってるだろ。それに犬猫じゃないんだから、軽率にそんなこと言うなよ」
「うーん」
「そうねー」
父さんと母さんが同時に唸る。
やばい。
この流れは良くない。
非常にやばい。
「ほら、早く、警察に、行こう」
父さんと母さんが顔を見合わせてなおも唸り続けている。
待ってくれ。
何を戸惑うことがある。
「父さん!母さん!」