だったらあんたが堕ちてくれ

椿はのろのろと後ろからついてきて、ただただ無言で頷いている。

「ちなみにさっき椿が撫でてたのがチョコ、そこにいるのがクッキー。庭には雑種犬のスモアが居る」

「ペット多くない」

いままでだんまりを決め込んでいた椿が急に言葉を発した。

「三匹とも捨てられてたんだ。飼い主を見つけるまでってことで家で面倒みてたんだけど、そうしてるうちに情がわいて。いまでは立派な家族の一員だ」

「ああ、また拾ってきたって、そういうこと」

鼻で笑いながら椿が呟く。

その通りだ。

三匹とも俺が見つけて、俺が拾ってきた。
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