だったらあんたが堕ちてくれ

「父さんはもうへとへと、くたくた、どっぷり疲れてるんだ。風呂に入って早く晩酌したい。父さんが先に入るから、椿はその後にしてくれ」

「ダメ!」

ガツンとはいえない弱々しい提案に、なぜか妹が食ってかかる。

「若い女の人に知らないおじさんが入ったお湯使えっていうの?お父さんデリカシーないなー。ここは先に椿さんに入ってもらうべきでしょ」

最後の頼みの綱は、妹の「おじさん」発言で呆気なく、音も立てずに、切れて、途絶えて、消えていった。
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