だったらあんたが堕ちてくれ
第一章 拾い物
街灯の明かりが心許もとない、閑静な住宅街を早足で進む。
今年もまた一年終わりが近づき、気の早い住人によって街が色とりどりに飾り付けられている。
この頃はめっきり極寒の日が続き、夜ともなるとその冷え込みは半端ない。
破壊力抜群。
奥歯がガチガチ言っている。
高校に進学してから毎年数回訪れる定期テストに向けて勉強してたら思ったよりも時間が遅くなっていた。
寒いから、暗いから、とにかく動かせるだけ早く足を前へと運ぶ。
……違う。
そんな理由で息を切らせながら歩いてるんじゃない。
俺はいま、逃げてるんだ。
「ねえ……ちょっと待ちなさいよ!ねえってば!」
知らない声が少し後ろから聞こえてくる。
嫌だ!
止まらない!
頼むから消えてくれ!