だったらあんたが堕ちてくれ

なんの違和感もなく『みんな』に椿を含んで父さんが現れる。

その声に促されるように、なんの違和感もなく“みんな”がコタツに腰を下ろした。

冬場は冷えるからコタツに入ることが多い椎名家でも、食事の際はきちんとダイニングテーブルで食べていた。

だけどそこに椅子は四脚しかなくて、昨日の晩飯はコタツで食べた。

だからって、たった一回の出来事で、十何年間続けられていた暗黙のルールを破ることに疑問を感じる人は、この家にはいないのか……。
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