漆黒が隠す涙の雫
1*運命の再会
あなたがいそうな場所は、全部探した。
あなたがよく立ち寄るコンビニも。
たまにふたりで行くカフェも。
前に話してくれた仕事先も。
小さい頃よく遊んだ公園も。
それなのに、どこにもいない。
目撃者さえもいない。
「どこに行っちゃったの?お兄ちゃん……」
もう何日こうして探しているんだろう?
今日も何ひとつ収穫なしに、日だけが暮れてしまった。
真っ暗な路地に佇む私。
5月のこの時期、まだ夜に吹く風は肌寒いというのに、私の額にはじっとりと汗が滲む。
近くの街灯がチカチカと点滅していて、虫がぶつかる嫌な音がする。
もう諦めるしかないのかな……。
そう思った時、道の向こう側からヘッドライトの光に照らされ、眩しくて咄嗟に手で光を遮った。
「んなとこ突っ立ってあぶねーだろ!道の端歩けよっ!」
そう怒鳴り散らされ、ビクつきながら道の端へと避けると、その横をバイクが通り過ぎて行く。
「バイク……」
小さな記憶のかけらが私の記憶を呼び起こす。
––––––『あんたが新(あらた)の妹?
へぇ。思ったより似てないね』
心許ない、細い細い糸。
全く関係ないかもしれない。
なんの手がかりにもならないかもしれない。
だけど、そんな細い糸だとしても、ほんの少しでもあなたに繋がっているのなら––––。
あなたがよく立ち寄るコンビニも。
たまにふたりで行くカフェも。
前に話してくれた仕事先も。
小さい頃よく遊んだ公園も。
それなのに、どこにもいない。
目撃者さえもいない。
「どこに行っちゃったの?お兄ちゃん……」
もう何日こうして探しているんだろう?
今日も何ひとつ収穫なしに、日だけが暮れてしまった。
真っ暗な路地に佇む私。
5月のこの時期、まだ夜に吹く風は肌寒いというのに、私の額にはじっとりと汗が滲む。
近くの街灯がチカチカと点滅していて、虫がぶつかる嫌な音がする。
もう諦めるしかないのかな……。
そう思った時、道の向こう側からヘッドライトの光に照らされ、眩しくて咄嗟に手で光を遮った。
「んなとこ突っ立ってあぶねーだろ!道の端歩けよっ!」
そう怒鳴り散らされ、ビクつきながら道の端へと避けると、その横をバイクが通り過ぎて行く。
「バイク……」
小さな記憶のかけらが私の記憶を呼び起こす。
––––––『あんたが新(あらた)の妹?
へぇ。思ったより似てないね』
心許ない、細い細い糸。
全く関係ないかもしれない。
なんの手がかりにもならないかもしれない。
だけど、そんな細い糸だとしても、ほんの少しでもあなたに繋がっているのなら––––。