漆黒が隠す涙の雫

「……そう。昴が説明してよ。取り敢えず今から幹部室に来て」


それだけ言うと、潤くんは通話を切ってスマホをいじり始めた。



「えっと…潤くん?」


「ん?」


「潤くんが説明してくれるんだよ…ね…?」


「いや?俺、そういうのめんど…じゃなくて苦手だから」



面倒臭いって言おうとした!!


今、面倒臭いって言おうとした!!



「大丈夫。ちゃんと側にはいるから。昴はある程度事情は把握してるし、説明も上手いから安心して」


そう言うと潤くんの視線はまたスマホへと戻ってしまった。



これからかなり重要な事を話そうってのに、潤くんのこの無気力な様子……。


なんだか…不安しかないんだけど……。



そもそも私、この人の事全然知らないや。


一体こんな所で何をやってるの?


そして今更だけど、この場所も一体……。



辺りを見回せば、まるでどこかの広いワンルームマンションの一室のような作りになっていて、

ベッドやソファーはもちろん。


会議でも出来そうな長机にホワイトボード、流し台や冷蔵庫なんかも完備されている。


おまけに小さなシャワールーム。
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