漆黒が隠す涙の雫
潤くんはここで暮らしているのだろうか?
これだけ色々と完備されていれば、人ひとりくらい容易に住むことが出来るだろう。
私、さっき確かに倉庫の前にいたはずだよね?
そこで倒れて運ばれたんだから…まさかとは思うけど、ここはさっきの倉庫の中?
だとしたら、一体何の為にこんな作りに…?
そういうば、さっき潤くんが電話で“幹部室”がどうのって言っていた。
幹部って……一体何の?
次から次に出てくる疑問に答えなんて出るはずもなくて、大きな溜息が漏れてくる。
お兄ちゃん……本当、どこに行っちゃったの?
*
「というわけで、愛華ちゃん。俺から説明させてもらうね」
「はい!宜しくお願いします!」
幹部室に到着した昴さんは、早速ホワイトボードの前に立ち、ペンを手に取った。
「愛華。昴にも敬語じゃなくていい」
ホワイトボードが見える位置の椅子に座る私の隣には、相変わらずやる気なく椅子の背もたれに寄り掛かる潤くん。
「そうだよ。敬語なんて使わないで。潤も新も俺の一個下だけど、敬語なんて使われた覚えは一度もないからね」