漆黒が隠す涙の雫

潤くんはここで暮らしているのだろうか?


これだけ色々と完備されていれば、人ひとりくらい容易に住むことが出来るだろう。



私、さっき確かに倉庫の前にいたはずだよね?


そこで倒れて運ばれたんだから…まさかとは思うけど、ここはさっきの倉庫の中?


だとしたら、一体何の為にこんな作りに…?



そういうば、さっき潤くんが電話で“幹部室”がどうのって言っていた。


幹部って……一体何の?



次から次に出てくる疑問に答えなんて出るはずもなくて、大きな溜息が漏れてくる。



お兄ちゃん……本当、どこに行っちゃったの?









「というわけで、愛華ちゃん。俺から説明させてもらうね」


「はい!宜しくお願いします!」


幹部室に到着した昴さんは、早速ホワイトボードの前に立ち、ペンを手に取った。


「愛華。昴にも敬語じゃなくていい」


ホワイトボードが見える位置の椅子に座る私の隣には、相変わらずやる気なく椅子の背もたれに寄り掛かる潤くん。


「そうだよ。敬語なんて使わないで。潤も新も俺の一個下だけど、敬語なんて使われた覚えは一度もないからね」
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