漆黒が隠す涙の雫
私が戻ろうとした道の向こう側から、光が近付いて来るのが見えて、私は慌てて茂みの中に身を隠した。
何の光…?
それが近付いてくると、辺りに凄まじいエンジン音が轟いて、すぐにそれがバイクのヘッドライトだという事が分かった。
2台のバイクが、私の目の前で停車する。
辺りにはまた静けさが戻ってきた。
バイクから降りたひとりの男が、おもむろにフルフェイスのヘルメットを外す。
うわっ!!
長い金髪の髪の毛。
耳に付いた沢山のピアスが、彼が何者かを物語っている。
これは世に言う…不良さん…だよね?
どう見たって、平凡に生きている人間の容姿じゃないもん。
男は、自分の後部座席に跨っていた男を支えるようにしてバイクから降ろすと、力なく項垂れるその男のヘルメットを外した。
なっ…!?!?
私は、その男の姿を見て驚愕する。
顔は、ボコボコに腫れ上がり、額からは血が流れている。
意識も朦朧としているようで、目の焦点が定まっていない。
殴られた…傷?
殴られるってどういう状況!?
こ、この人達…本当にヤバイ人達かもしれない。