漆黒が隠す涙の雫
……え?
そのまま潤くんは、一歩一歩私へと歩み寄ってくる。
「潤くん…?」
–––––ガシッ
「え!?」
突然起きたその状況に肩をすくめる私。
「お前がその気なら、俺も手段を選ばないから」
ちょ…ちょちょちょちょっと待って!?
潤くんの腕にすっぽりと拘束された私は、顔を赤く染め、わけも分からず瞬きを繰り返す事しか出来ない。
潤くんと密着している部分から、じんわりと熱が広がっていく。
すぐ近くに、潤くんの息遣いを感じて、心臓が勝手に騒ぎ出す。
「今日から愛華は、翼鷹の人質として拘束する」
––––––え?
人…質?
「ばっ……お前、何言ってんだ!!愛華から離れろよっ!!」
「俺は、鷹牙を復活させる」
「……なっ」
「それには新が必要だ」
「…っだったら!お前が思想を変えろよ!!穏健妥当な思想なんか捨てて、俺の目的くらい付き合ってもいいだろ!?」
「それは出来ない」
「何で……っ」
「何で?そんなの–––」
潤くんは、焦るお兄ちゃんに反してとても穏やかな様子で、
またゆっくりと私に落ちてきた視線は、思わず胸が高鳴ってしまうほどに優しい。