漆黒が隠す涙の雫
ううん。
これは紛れもない現実だ。
私はとうとうひとりぼっちになっちゃったんだ……。
途方に暮れるって、こういう事を言うのかもしれない。
お兄ちゃんは、本当にもう戻っては来ないの?
私はこれから、一体どうすればいいの?
「てなわけで、今日から愛華はうちの人質だから」
「「人質!?!?」」
昴くんと修二くんが、同時に驚きの声を上げる。
たった今、これからの事を案じていた私もあまりのタイムリーさに潤くんを凝視してしまった。
そういえば、さっきもそんなような事言ってたけど……。
“人質”って、一体どういう事?
「潤、人質って愛華ちゃんを新との交渉の材料にするって事?」
「まぁ、そんなとこ」
「まぁ、そんなとこって…愛華ちゃんはそれ了承してるの?」
昴さんの視線が不安げに私に流れてきたので、私はもげそうなくらい首を横に振った。
「こ、困るよ!人質ってつまり、翼鷹に囚われるって事だよね?」
「そうだね。なんで?やだ?」
「や、やだ?って…潤くん私の体質知ってるでしょ?」
人質って、監禁とかされたりするアレだよね?
“監禁”……考えただけで、ゾクリと背筋を冷たいものが走る。
それが男達の巣窟と言っても過言ではない、暴走族グループなんかにされるというんだから尚更だ。