漆黒が隠す涙の雫


部活のユニフォームを着た生徒。


参考書を読みながら歩く生徒。


「今日、どっか寄って行こうー」と言いながら会話を楽しむ生徒。


そんな生徒達とすれ違い、昇降口についた私は、手際よく下駄箱から外履きを取り出し、上履きをしまう。


このまま翼鷹の倉庫に行くべきかどうか……。


未だに答えが出ないまま昇降口を出る。



–––と、何やら校門付近が騒がしい。



なんだろう?


何か面白いものでもあるのかな?


校門の外にまではみ出している人集りは、どう見ても女子率が高い。


不思議に思いながら、その横を通り過ぎようとした。


だけど……。



え!?



校門を出る一歩手前でギョッと目を剥き足を止めてしまった。


その人集りの中心にいたのは……。



「じゅ、潤くん!?」


「愛華」


何で潤くんがここにいるの!?


潤くんは、学校から直接ここに来たのか制服のままで、今までの彼とはあまりに印象が違って見えて、思わずドキッとしてしまった。


しかも、潤くんの来ている制服は、この辺りでも飛び抜けて偏差値が高い、有名な公立高校のもので、ブレザーの胸に付いた校章がそれを主張している。
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