たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
内鍵を外し、恐る恐る扉を開ける。


「ご主人様っ!!」驚いて思わず声を張り上げてしまった。


白いシルクのシャツの前を緩やかに開け、部屋着である黒いボトムをはいたエルンストが立っていた。


「しっ、大きな声を出すな。コンラートやヘレナに聞かれては面倒だ」


人差し指を口にあてると、強引に部屋に入り扉を閉めてしまった。


「ど、どういうおつもりですかっ?!」


何が起きたのか混乱する。


しまった。

いつも携帯している短剣はメイド服のポケットの中。メイド服に視線を動かす。


おまけに今着ている夜着はルイーズからもらったもので、大きく胸元が開いたオフショルダーのわりと薄手のものだ。


どうしよう....。焦るフィーアを見透かしたように、エルンストの言葉が投げつけられた。
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