たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
「心配するな。その程度では興奮しないし、服の下はたいして見えていないぞ」

しれっとした顔をする。


「は、はぁ」


って違うから。そんな問題じゃなくてレディーとしてのたしなみの問題だからっ。
思っても口には出さない。

「は、はい。ですがやはりこれでは.....メイド服に着替えますので向こうを向いていただけますか?」


フィーアとしては当然の意見なのだが、「気にしないからそのままでいい」
ぴしゃりとエルンストに言われては従うしかない。


「は....い」
戸惑いほほを赤くして夜着を両手でつまみながらうつむいた。


「今日のハープの音色は何やら悲しげだったな」



この部屋は位置的に楽器を弾いても誰にも迷惑かけないと思っていた。
隣は空き部屋だし、下の階は書庫だし、エルンストの部屋はだいぶ離れている。


夜の静けさといたずらな風が音色を運んだのか?


「申し訳ありません、お休みを邪魔してしまって」とにかく謝った。
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